子供の頃に意味もわからずに使っていた言葉や遊びにはさまざまな意味が込められています。
本日はそんなお話。
意味を知っても使う事ができますか?
ゆびきりげんまん
子供達がよく歌いながら約束事を交わす。
「ゆびきりげんまん」
あなたも一度は歌ったことがあるだろう。
このゆびきりげんまんとはいったい何なのか?
拳を握り小指をフック状に曲げ
相手と絡ませて約束を誓う。
どんな意味が込められているのだろうか?
有名な話でもあります。
既に聞いた事がある方もいると思う。
本記事ではそんな「ゆびきりげんまん」についてのお話。
懐かしい「ゆびきりげんまん」
幼稚園に行き始める頃くらいから使う子が増えてきます。
誰に教えてもらったのかすら覚えていないが確かに子供の頃によくやっていたのを覚えています。
家のマンションの敷地に小さな公園があり、幼稚園年長〜小学校低学年くらいの子達が集まってワイワイと楽しそうに遊んでいる姿がよく見られる平和な公園です。
ゆびきりげんまん
うそついたらはりせんぼんのます
ゆびきった
大声で響き渡る「ゆびきりげんまん」
恐ろしく無いですか?
子供が笑いながら言う言葉じゃ無いですよね。
そもそもハリセンボンって飲めるの?
どんな飲み物なの?
ハリセンボンに飲ますの?
テキーラでも出してみる?
考えていても埒があかないので違う想像をしてみます。
じゃあこいつを飲むの??
攻撃力高そうだけど大丈夫かな?
などと考えながらぼーっと近所の子供達が家の下にある公園で楽しそうに歌う姿を眺めていました。
懐かしいなぁ「ゆびきりげんまん」
本当の意味を知るはんちゃんはこんな無邪気な子供が楽しそうに歌う歌じゃない事がわかっています。
この歌で歌われる「はりせんぼん」とは、「針千本」なのです。
芸人でもトゲトゲの魚でもありません。
さて、それでは有名な「ゆびきりげんまん」のお話
はじまりはじまり〜
ゆびきりげんまんって?
ゆびきりげんまんとは「指切拳万」と書きます。
漢字で書くと既に意味がわかってしまいますね。
この言葉には「指を切る」という意味と「拳1万」という言葉が合わさっています。
この2つの言葉にはどんな繋がりがあるのでしょうか?
指切り拳万
嘘ついたら針千本飲ます
指切った
このように歌っているのです。
どんな子供だよ…
すごくサイコパスでぶっ飛んだ発言です。
針千本も飲ませたら確実に死にます。
まず耐えられる人はいないでしょう。
ニュースでも大体的に取り上げられるでしょう。
大いなる殺意がないとできない所業です。
懲役15年はくらうでしょう。
こんな恐ろしい「指切り拳万」はどうやって生まれた歌なのでしょうか?
歌の始まりは…
室町幕府は1512年8月に撰銭令の条例に違反した者は、『男は頸(くび)を切り、女は指をきらるべし』といった肉体刑が記されていて、責任を取る形の一つとして女性の指切りが社会的に認知される下地が中世からあった。
また、男女が愛情の不変を誓い合う事を証拠立てる事を「心中立て」と言う。
「指切拳万」とは、この2つの意味の両方を合わせて作られたのだ。
江戸時代に遊郭で働く遊女が客の男性に対する心中立てとして小指の第一関節から先を切り落として渡したことに由来する。
それほど愛してるということを意味し、貰う客も遊女の思いに応えるくらいの気構えが必要であった。
また、「拳万」についてはその名の通り
「拳1万発」です。
拳1万発なんてどんなスタンド使いでしょうか?
嘘をついたら拳で1万回殴るに値するくらい大切な約束。
さらにそれだけでは物足りずに針を1000本飲ませる。
だからその誓いの証として指を切って渡します。
このような解釈になってしまいます…
当時の遊郭で働く遊女はとても重い事情を抱えていたのです。
親や亭主の大きな借金を背負わされていることがほとんどで、自分の意思でいるわけではないので逃げるに逃げられず苦しい思いをしていたのでした。
返済が終わるまでは自由になれず、より多くの回数を1人1人に遊びに来てもらう事がより重要なのでこのような指切りの風習まで出来てしまったんだと思います。
現代においては
この指切りの風習、江戸時代の吉原などの遊郭で誕生しました。
激痛を伴う事もあり、また切った指はもう生えてこない事もあり指切りは1人の遊女が何回もできる事ではありません。
その為、実際には指を切らずに指の模造品を渡す遊女が増え始めてだんだんと意味合いがライトになって行く事になりました。
その結果、子供達が約束事をする時に楽しく笑いながら歌える歌になっていったのです。
もちろん、意味はわからずに歌っているとは思いますが…
子供達が歌う「ゆびきりげんまん」とはこうして生まれたのでした。
別のゆびきりげんまんも…
誓いの意味を込めた「ゆびきりげんまん」はこうして子供達の童歌となりましたが、責任をとる意味を込めた「指切り」の方は別の方向へ根が残りました。
組織内で和を乱してしまうような失敗をした時に、その組織のボスに対する謝罪の意思表示として小指を切断する事でケジメをつける事とするような風習として根付いた世界があります。
そうです、博徒集団(暴力団)におけるエンコ詰めと呼ばれる行為は、この指切りの風習に由来するものである。
まとめ
ゆびきりげんまん
うそついたらはりせんぼん
のーます。
ゆびきった。
子供が楽しく歌う童歌。
起源を辿れば遊郭の遊女が調子の良い事ばかりを並べながら気を引こうとしてくる男性客の小指に指を絡まらせながら歌ってました。
指切り拳万
嘘ついたら針千本
飲ます。
指切った…
と歌いながら小指の先端を切って渡されたらどうでしょうか?
それほど真剣に考えていなかった男性客はどんな気持ちになるでしょう?
知らずに楽しく歌っている子供達に悪気はありませんが、歌っている姿を見ると少し思うところが出てきてしまいます。
本当は怖い「ゆびきりげんまん」
本記事はそんな内容に触れてみました。
童歌とは、忘れてはいけないような出来事を後世に残すために謳われている物が多く存在します。
この「ゆびきりげんまん」もそんな遊女の悲しい地獄を忘れないように謳われているのかもしれませんね?